ラグビーを観ていて「なんでボールを持った人は的にぶつかって行くんだろう…」と疑問に感じたことはありませんか?
横にヒョイッと避けちゃえば、スルスルっと走り抜けられるんじゃね?
とか思いますよね。
答えは簡単
「抜けたってすぐに他の敵にタックルでディフェンスされるから」
です。
では、どうやって前に進むのか?
選手たちは常に「人を余らせる」を意識してプレーしています。
今回は、先日のトップチャレンジで良い教材がありました。
と言うことで、今週も行ってきました花園ラグビー場。
今回はトップリーグ昇格を賭けた、「トップチャレンジリーグ」の最終節に行ってまいりました。
このリーグで2位以内に入れば来季トップリーグに昇格します。
今年のトップチャレンジに進んだチームは
・キャノンイーグルス (トップイースト(関東のリーグ)1位)
・NTTドコモレッドハリケーンズ (トップウェスト(関西のリーグ)1位)
・九州電力キュウデンヴォルテクス (トップキュウシュウ(九州のリーグ)1位)
・ホンダヒート (地域リーグ2位同志のリーグ(トップチャレンジ2)の1位)
の4チーム。
前節までにNTTドコモの昇格は確定。
残り1枠を、最終節のキヤノン対ホンダの勝者が獲得すると言う、ものすごい熱い戦いが予想されていました。
トップリーグと言うのは、半分プロ半分アマチュアのリーグ。
チームは企業の部活。選手はプロ契約と社員の混在。
だから昭和の企業スポーツの文化がまだ残っています。
いろいろ問題点はありますが、現状はそうなっています。

ですから、会場前にあるチームのブーステントにも
「NTTグループ」とか「篠山工場」とか職場別の受付があります。
所謂、動員ってやつ。
一緒に行った友人はキヤノンの社員さんなので、ブースにてチケットとおやつを受け取ります。
私は一般人なのでチケットを購入。

1500円なり。

グラウンドに入ると、こんな感じ。
キヤノンは赤だから、右側。
左側は対戦相手のホンダ。おそろいの色で統一されていませんから目立ちませんが、ホンダもスゴイ数の動員です。

本日は友人に解説もしなきゃならないので、動員された皆さんに混じって観戦。
展示会なんかで見かけるヤッケを皆さん着用されております。
すげー。

試合は予想通りの大接戦。
獲って獲られての激しい攻防でした。
結果は37-32でホンダが勝利し、トップリーグ昇格を決めています。
この試合1番目立っていたのが、負けたキヤノンのアリシ・トゥプアイレイ

ニュージーランド出身の30歳。
20歳以下のニュージーランド代表にも選ばれたことのある、スター選手です。
日本代表でもセブンズ(7人制)や、昨年の代表戦にも全て出場する、日本代表の要。
ラグビーマガジンの表紙を飾ったこともあります。

こんなふうに。
下部リーグではもちろん飛び抜けた存在で、アリシは自らボールを持って相手にぶつかりに行き、ホンダディフェンスを集めてから自分が起点になって、スペースを沢山作る。
さらに密集付近では積極的にラックに参加。体を張ってボールをキープしていました。
が、
その「相手ディフェンスに突っ込んでいくプレー」がどーも社員さんたちには受けが良くない。
「こら!外にパスしろ!!」
「そんなん抜けられへんよ!なにしてるねん!」
「コラ!ハゲ!調子に乗るな!!」
「トンガ!もっとパスしろ!」
・・・。
わからんか。そやんな。わからんよな(泣)
てか、トンガちゃうしニュージーランドやし・・・。
アリシがどんなプレイをしていたかというと
黒がホンダディフェンス、赤がキヤノンとして・・・

まず、強いアリシがボールを持って相手ディフェンスに突っ込みます。

アリシには2~3人必要なので、ホンダディフェンスが集まります。

ディフェンスに捕まったアリシはなるべく立って、倒されるまで時間を稼ぎます。
アリシが時間を稼いでいる間に、キヤノンのSH(スクラムハーフ・ボール出し屋さん)が到着。
素早くBK(バックス・走ってトライを獲る人の総称。TVに出る有名ラグビー選手のほとんどはバックス。アリシもバックス)にボールを供給。

ホンダディフェンスは1人でキヤノンのアタック2人をケアしなければならず、キヤノンが少し前進できる。
これを見ていただければ、アリシ大活躍やん!って解っていただけると思うのですが・・。
昔のラグビー(神戸製鋼が強かった頃)って、ディフェンスのシステムが今よりずっと遅れてました。
だからBKの選手がスパッとディフェンスを抜いて裏に出てそのままトライってのが結構みられたんです。
が、今はディフェンスがとても研究されていて、1人のステップで抜いていくなんて中々見られません。
ワールドカップの決勝なんか、両チームノートライで決着なんてやってます。
大事な一戦になればなるほど、ゴールラインに近づくことが重要になります。
まさにアリシがやっていたのは「ゴールラインに近づく」と言うプレーで、
「アリシが効いてる」と思える今日のゲームでした。
確かに、
「アリシたまにはパスしないと、突っ込んでくるのバレバレやで。」
とは思いました。
が、試合中でも何回か突っ込んでそのまま突き抜けて、トライも1つとってますし。
しかし花園のメインスタンドスコアボードよりでは、もう全く。
実は少し悲しかった。ホンダのアリシ、結構好きなんですよ。
そう、アリシって今日対戦したホンダの選手ってイメージが強いんですよね。
試合が終わって、ホンダの選手が集まって喜んでいました。
昨シーズン惜しくもトップリーグから降格してしまったホンダは、今シーズン苦しい戦いが続きました。
まず、プロ契約の選手の移籍。サッカーと同じく、降格してしまうと選手を切らざるをえません。
入場料収入のほぼ見込めないラグビーはサッカーよりもそれが激しかったりします。
アリシや山田、キムヨンデなどの主軸が抜けていきました。
そのせいもあってか、近年力を入れてきたNTTドコモにリーグ戦で2度完敗。
それでもリーグ2位同士のトップチャレンジからはいあがってきて、トップチャレンジ1に進み、やっとここまで来た感もあるでしょう。
日本に来て、ずっとホンダにいたアリシが、今はキヤノン。ホンダのディフェンスを苦しめたアリシが、ホンダの選手たちと、握手して喜んでいました。
負けたのは悔しいやろけど、ホンダが上に上がるのは、そりゃやっぱりうれしいやろな。
ホンダって言うたら、アリシやったもんな!
近鉄もアリシにはよーやられたもんな!
以下、この試合の流れ。
前半16分 キヤノン、自陣22m内から13アリシがポイントになって密集で押し、右へ。
14徳永がライン際を独走。右隅にトライ!G失敗
キヤノン5-0ホンダ
前半19分 ホンダ、右ライン際を11谷口がゲイン。捕まってできたポイントから一気に左へ。
3人余った中で8川添が左中間にトライ!G成功
キヤノン5-7ホンダ
前半22分 キヤノン、ゴール前5mでラックを作り、右へ。
最後は2宍戸がトライ!G成功
キヤノン12-7ホンダ
前半28分 ホンダPG成功
キヤノン12-10ホンダ
前半35分 ホンダPG成功
キヤノン12-13ホンダ
前半38分 ホンダ、蹴り勝った!自陣クイックスローからキックで戻す。
キヤノンの折り返しのキックを10谷口が、キャッチし12上田が抜けてトライ!G失敗
キヤノン12-18ホンダ
後半1分 キヤノンPG成功
キヤノン15-18ホンダ
後半6分 ホンダ、敵陣で相手ボールスクラムをめくる。
点にはつながらず。がこれはキヤノンにとって痛い。
キヤノン15-18ホンダ
後半10分 ホンダ、敵陣10mでキヤノンボールスクラムで反則をもらう。
ホンダはスクラムを選択。左に振って、13ヨハンソンがトライ!G成功
キヤノン15-25ホンダ
後半13分 キヤノン、アリシが左で強く抜け出す!
トライ!G成功
キヤノン22-25ホンダ
後半17分 キヤノン、55mPG成功!すごい!
キヤノン25-25ホンダ
後半23分 ホンダ、フェイズを重ねて、少しずつ前にでて13上田がトライ。G失敗
キヤノン25-30ホンダ
後半30分 ホンダの猛攻!12、13を中心にキヤノンのディフェンスを切り裂いて、
最後は9梁がトライ!G成功
キヤノン25-37ホンダ
後半38分 キヤノン、トライ!すごい!G成功
キヤノン25-37ホンダ
試合終了
キヤノン32-37ホンダ

トップイースト1位のキヤノンがトップウェスト2位のホンダに敗れました。キヤノンは強化から2年目。ここまで来た事自体が驚き。それ故にチームとしての若さが出てしまった試合でした。
ディフェンスが整ったチームと対戦し、いかに崩していけるかが、昇格に向けての課題になるでしょう。
ホンダは1季でのトップリーグ返り咲き。現有戦力ではトップリーグを戦い抜くには相当厳しいと思われますが、来季トップリーグで近鉄と対戦できることを楽しみにしています。
てか、来季は
神戸製鋼、近鉄、ドコモ、ホンダと馴染みのチームがよーさんトップリーグにおることになりますわ。
すごく楽しみ。楽しみ。
